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“ハレの日パーク”

ハレの日マーク

私が、”ベーシックインカム”という言葉とその制度を知ったのはある企業のイベントが始めてだった。

そのイベントが開催されたのはもう5年程前だったと思う。

若いパネリストが、これから起こる未来についていろいろ語ってくれていた。

詳しいことは忘れてしまったが、そのほとんどは実現し始めているような気がする。例えばEV車とか・・・。

 

その時、私が最も衝撃だったのが、”ベーシックインカムの制度”だったのでよく覚えている。

 

目次

1.ベーシックインカム制度とは

2.始めて聞いた感想

3.世界で行われている実証実験

4.私たちが働く目的とは?

 

1.ベーシックインカム制度とは

ご存知の方もおられると思うが、ベーシックインカム制度とは、

国や地域が一定の金銭を全国民に与える。その金額は最低限の生活ができる金額だ。

全国民なので、家族が多ければ多いほどもらえる金額は大きくなる。

今まで、私たちは国や地域に税金を支払っていたが、これはその真逆で、国や地域からお金をもらえる仕組みなのである。

 

2.始めて聞いた感想

 

これを始めて聞いた時は、

✓ まず実現しないだろう

✓ 実現するための財源はどうするのか?

✓ この制度が実現したら、怠け者が多くなり人々は働かなくなる

✓ 遊び人が増え、社会の発展は止まる

✓ 将来に希望の見えない世界になる

 

始めて聞いた時、ほとんどの人がこのような印象を受けるだろう。

その後、時を経て、少しずつ、ベーシックインカムのメリットについての話題が私の周辺で起こるようになった。

 

3.世界で行われている実証実験

 

既に、世界の国と地域では実証実験が行われている。

ケニア、フィンランド、アメリカ・オークランド、オランダ・ユトレヒト、カナダ・オンタリオ、インド、イタリアと。

 

この中では、費用がかかりすぎるという理由で実験が中断されたところもあるが、世界がこの取組をしているという事実を私たちは知っておくべきだろう。

 

 

4.私たちが働く目的とは?

このベーシックインカム制度について考えると、私たちは何のために働いているのか?という考えに行き当たる。

 

ILOは全ての人にディーセントワーク ー Decent Work for All ーの実現を目指して活動している。ディーセントワークとは、「働きがいのある人間らしい仕事」のこと。

 

SDGsでも8番目に、「すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセントワークを推進する」が組み込まれていて、我が国も我が国の企業も取り組み始めている。

 

ただし、現実には、ほとんどの人が、働きがいよりも、収入が大事なのも事実だ。生活のために働かざるをえないとなれば、そうなって当然だろう。

 

そこで、ベーシックインカム制度で最低限の生活が保障されたらどうなるだろうか?きっと、人々は、自分のやりがいに見合った仕事を選択するようになるだろうという仮説が言われ始めている。

そうなると、企業は社員にやりがいのある仕事の提供に取り組むことになる。社員が、生活のためではなく、自分のやりがいのために働くとなったら、生産性も上がってくるだろうという仮説のようだ。

確かに、仕事を”イヤイヤ””仕方なく”やっているのと、”やる気になって”仕事をしているのでは生産性が多いに違う。

 

つまり、生活のための労働をもう止めて、”ディーセントワーク”にしぼりませんか?というのがこの制度だと私は思い始めた。

働きたくない人は、最低限の生活ができるので働かなくてもOK。

この制度を導入することで、SDGsの1番目の貧困は解決される。

また、SDGsの4番目 「質の高い教育をみんなに」もある程度は解決するだろう。

子ども達には、ベーシックインカム制度でもらうお金で自由に自分のしたい勉強ができる。

SDGsの2番目の「飢餓をゼロに」の“飢えをなくし、だれもが栄養のある食糧を十分に手に入れられるよう、地球の環境を守り続けながら農業を進めよう”についても導入すれば解決するだろう。

日本では、飢餓はないと思っておられる方も多いが、こども食堂が各地にあるように困っている人が現実的にいる。そして、その子たちが栄養のある食事が行き渡っているかが今の問題だ。この問題もベーシックインカム制度導入で解決できるのなら喜ばしいことだ。

 

すなわち、ベーシックインカムの制度の導入は、単にお金をばらまくのではなく、貧困の解決、子どもたちの教育の機会を広げ、企業の生産性もあげるという仕組みも備わっているという。

 

さてさて、こういうメリットはあるが、果たして私が最初に危惧した財源の問題や労働に関する人々のモチベーションの問題が残る。

そして、企業には社員に「働きがいのある仕事」だけを提供できるわけではない。

いわゆる3Kという仕事に人が集まらなくなったらどうするか?ロボットで対応できるのならいいのだが・・・。

また人々の労働意欲が減退することによる経済成長もどうなるかがわからない。

 

 

と、まだまだ課題は山積みではあるが、国会議員を送り出している政党である”維新”がこのベーシックインカム制度導入を公約にした意味は大きいと考える。

 

5年先、10年先を見据えて経営を考える経営者は、社員の”ディーセントワーク”についても今から考えて実践していかねばならないだろう。

これからどうなるかわからないし、勿論すぐにベーシンクインカム制度が実現するとは思えない。ただし経営者でなくても、ベーシックインカム制度について1人1人が深く考えていかねばならない時代に入ったことは間違いない。

 

ちなみに、若いサラリーマン数人に、ベーシックインカム制度導入されたら、今の会社で働きますか?と聞いたら、皆が異口同音に「退職する」と返事があった。

 

 

ディーセント・ワーク (ILO駐日事務所)

参考 ディーセント・ワークの4つの戦略目標

上記の1999年の第87回ILO総会事務局長報告と2008年の第97回総会において採択された「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」の中で、ディーセント・ワーク実現のための4つの戦略目標が掲げられています。すなわち、ディーセント・ワークの実現に向けた取組みは、次のような4つの戦略目標に基づくものとされています。そして、ジェンダー平等は、横断的目標として、全ての戦略目標に関わっています。

  1. 仕事の創出 –  必要な技能を身につけ、働いて生計が立てられるように、国や企業が仕事を作り出すことを支援
  2. 社会的保護の拡充 – 安全で健康的に働ける職場を確保し、生産性も向上するような環境の整備。社会保障の充実。
  3. 社会対話の推進 – 職場での問題や紛争を平和的に解決できるように、政・労・使の話し合いの促進。
  4. 仕事における権利の保障 – 不利な立場に置かれて働く人々をなくすため、労働者の権利の保障、尊重

 

貼り付け元  <https://www.ilo.org/tokyo/about-ilo/decent-work/lang–ja/index.htm>

 

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